事業の成果と課題
◆事業の成果
1.活動内容
産業構造・社会構造の変化等が進む中で、我が国経済社会の一層の発展を期すためには、経済発展の先導役となる産業分野や、新たな人材需要の高まりが予想される分野等への人材シフトを円滑に進めるとともに、それらの人材が有する専門技術を高めていくことが必要不可欠である。
世界的に優位に立つ我が国の環境技術を活用した電気自動車の技術はすばらしく、今後普及が急速に進むと考えらる。電気自動車を活用したカーライフに関わる分野や車両の安全維持に関わる整備技術、電気自動車と家庭をつなぐ充電設備の技術などのメンテナンスの仕事が、今後の環境・エネルギーの変革に大きな影響をもたらすと考えられる。
このため、産学官の連携した取り組みにより、専門人材養成を戦略的に推進するため、成長分野等における中核的専門人材養成のための新たな学習システムを検討し、産学官で共有するとともに、全国的な標準モデルカリキュラムやその達成度評価手法、各地域の人材ニーズに対応した教育プログラム等を開発・実証することは必須の課題となる。
従って本年度は、平成26年度までに開発された全国的な標準モデルカリキュラム等を活用して、各地域の専修学校等にいおて、地元の企業や業界団体等の人材ニーズを踏まえた「オーダーメード型教育プログラム」の開発・実証を行い、成果を全国的な標準モデルカリキュラム等にフィードバックするとともに、その課題やノウハウを蓄積し、とりまとめ、全国に提供することとした。
この取り組みにより、今後の環境・エネルギー対策に寄与する人材の拡大や、実践的な知識・技術・技能を身に付けた整備士(整備女子を含む)を輩出するための学習体系の構築と、成長分野等における中核的専門人材の養成が促進できるものと考える。
「次世代自動車エキスパート養成教育カリキュラム」開発・実証
上記の取り組みは、環境・エネルギー対策に配慮した低炭素社会に寄与する中核的人材の養成に繋げたものである。
具体的には、下記の4地域のワーキンググループ(以下WG)で課題を検討し、有効なカリキュラムの開発を行い、その内容の実証実験を行うことを事業の主軸において進めた。
また、質の保証の可視化として、シラバス・コマシラバス、授業シート、授業カルテ、模擬試験・解説、テキスト等を作成し実証講座を実施した。
○地域版学び直し実証講座
長崎WG:EV&ITS技術を取り入れた学習ユニット実証れた学習ユニットの実証
兵庫WG:水素などクリーン・エネルギーの知識を取り入れた学習ユニットの実証
【実証講座概要】
企業や業界団体等の人材ニーズ を踏まえた地域版学び直し教育プログラムの開発・実証を行うこと により、教育プログラムを体系的に整理、作成することで、地域版オーダーメードカリキュラムを作成することを目的とした。
特に、全国版カリキュラムを基にして、各地域の特徴を取り入れた、積み上げ式ユニット式カリキュラムとして次世代自動車の周辺技術について、その概要と特徴を理解できる内容の講座として実施した。
2.環境・エネルギーに関連した人材ニーズ
① 次世代自動車及びその周辺技術について、アンケートによる調査内容と結果
【目的】
次世代自動車やその周辺知識・技術の必要性がどのように変化しているかをアンケート調査により、各地域にて今後求められる人材像とそれを教育するために必要とされるスキルを抽出することによりカリキュラムの方向性を決めていくことを目的とした。
【実施内容】
長﨑、沖縄、福島、兵庫地域を対象に自動車業界企業及び整備業者等に対して、次世代自動車及びその周辺技術に対する課題と取り組みの実績および従事する社員の人材ニーズをアンケート調査し、 教育カリキュラムの方向性を調査。
アンケート発送946社、回収88社(回収率9.3%)
・あなたが思う次世代自動車に該当するもの
今後普及すると思われる次世代自動車は約70%に人がエネルギー源に電気を使用し動力源にモータを使用した車と答えている。

今回の実証講座でも学習した、電気自動車のバッテリーやモーターの知識、燃料電池車の水素やFCスタックの知識などでは、ほぼ全員が必要と答えている。

今回の実証講座で学習する予定の、各地域の次世代自動車の周辺技術については、各地域の特徴がよく表れていて、それぞれの地域で必要性があることがわかった。

今後重要となるエネルギーや動力に関しての知識・技術を望む声は多く、更に今回の地域版に取り入る次世代自動車の周辺技術についても、関心が高いことがわかった。
この結果から、「次世代自動車エキスパート養成教育」の必要性が高いことが確認できた。
② まとめ
エネルギー制約の高まりや地球温暖化対策の観点から、エネルギー効率やCO2排出量に優れた性能をもつ、プラグイン・ハイブリッド車(PHV)、電気自動車(EV)、超小型電気自動車(スマートEV)、燃料電池車(FCV)などの次世代自動車の普及に向けた先進的な取り組みが、経済産業省を中心に地方自治体(都道府県から市町村町レベル)に広がってきている。これらの次世代自動車には、エネルギー源として電気や水素などが使用され、動力源としてモーターを使用し、それらを最先端の通信技術で結んでいる。これらの技術の正しい知識を持つことは、適切な取り扱いや、安全な整備作業を行う上で欠かすことが出来ない。